まず、一般に不動産屋さんや不動産鑑定士は不動産の価格を調査する時、以下の三つを参考にします。
【一戸建用の土地の場合】
一般の方にとってもっとも簡易な方法としてはその土地の路線価から想定公示価格を求めるやりかたでしょう。まず、その土地の路線価を調べましょう。その路線価の1.25倍程度が想定公示価格です。つまり、所有の土地と同じ場所の「標準的な(地形も整形、大きさも周辺で標準的な土地)土地の価格」が分かります。しかし、あくまでも「標準的な土地」の価格ですので、実際の土地の形状や間口、奥行き、高低差、規模等により価格は影響をうけます。 一般の住宅地程度の規模の土地であれば、この数字が価格の一つの目安になります。
【住宅地の規模の大きい土地や工場用地の場合】
こういった土地は個人間で売買することはまずありません。最大の需要者はデベロッパーです。デベロッパ−の買い値は、単純に分譲時の予想される値段からの逆算です。特に路線価等は関係ありません。大規模な住宅地等の買い手であるデベロッパ−の販売状況がおもわしくない現在、今後は販売時の価格を下げなければならないゆえ、当然用地の購入価格は下がっていきます。既に、こういった開発を伴う大規模な土地は、結果として路線価以下が売買の相場となっている事も既に多いようです。
【ビル・商業用地の場合】
バブル期には「公示価格の約1.25倍(国土法上限の価格)が相場である」と言われたこともありますが、最近では、ビル用地の価格は結果として路線価より低い、つまり想定公示価格よりも相当低い価格が実際の市場価格となっているようです。(一部の超一等地を除いて)
現在、ビル用地(商業用地)の正常な取引きがほとんど無く(決算上や、救済のために関連会社や、ペーパーーカンパニーに高値で売却するような取引きが多い)、よって周辺の売買事例も少いのが現状です。これにより、鑑定士による路線価、公示価の評価も当然精度が低くなり、しかたなくバブル時の高い評価価格をいまだに反映した高い評価価格となってしまっています。
現在では、ビル・商業用地の価格は、収益還元価格が売買の基準なっています。つまり、その土地上のビル等から得られる賃料から5%とか8%の利率で還元した(割り戻した)価格がより重視されています。こうなると現状の路線価や、公示地価の価格は売買する上で意味を失うことになります。「賃料が年間4千万円得られるなら...5億円で買えば、表面利率で8%まわるなー。」といった値段の決め方です。金融商品を買うのに近い考え方です。
高めの路線価等はあくまでも参考程度のものとなってしまっています。